« 相続税の計算方式が変わりそうです | メイン | 中古アパートを購入と同時に修繕した場合の修繕費の処理は? »

「遺産取得課税方式」の内容

前回は現行の相続税計算方式である「法定相続分課税方式」のあらましについてご説明しましたので、今回は新しい課税方式である「遺産取得課税方式」についてご説明します。

ただし、この方式は正式には平成21年度の税制改正において立法される予定であるため、現時点ではまだ詳細は分かっておりません。

しかしながら、外国では既に適用されている国もあり(ドイツ、フランス)、それらを参考にして概略でも把握しておいたほうが良いのではないかということで、その骨子をまとめておくこととします。

まず、この新しい方式は現在の贈与税の仕組みに非常に近いと言えます。贈与税というのはもらった財産から一定の基礎控除額(一般の贈与の場合には年間で110万円)を差し引いた残りの額、これを課税価格と言いますが、この額に累進税率を掛けて求めます。

単純明快なのですが、新しい方式である遺産取得課税方式も基本的な仕組みはこれと全く同じです。違うのは基礎控除額と税率表です。

このうち基礎控除額については現在の基礎控除額とほぼ同額になるのではないかと言われております。

例えば、法定相続人が3人であればトータルの基礎控除額は8000万円(5000万円+1000万円×3人)ですから、8000万円を3人で割った金額、つまり2666万円に近くなるのではないかということです。

2666万円ということは相続時精算課税方式の場合の控除額である2500万円とほぼ同じですから、2500万円になるかも知れません。

もし2500万円となった場合、相続税はどの程度になるのでしょうか? 相続した財産が5000万円で税率表が変わらなかったとしたら次のようになります。

 (5000万円-2500万円)×15%-50万円=325万円

税額の多寡は別にして、仕組み自体は非常にシンプルです。自分が取得した財産だけで相続税が計算できるからです。

このように新しい課税方式は相続人個々人に焦点を当てた課税方式であるということができます。一方、現状のものはどちらかといえば家族単位の課税方式であると言えるでしょう。

ところで、なぜ課税方式が変更されようとしているかと言えば、現行の方式ではいくつかの問題が生じているからです。

その一つが前回ご説明したように、同じ財産を取得したにもかかわらず全体の財産の多寡に応じて税額に著しい差が出るということ以外に次のような決定的な欠陥を内包しているのです。

つまり、ある相続人に特有な特例を適用した結果、別の相続人の税額まで減額されてしまうという構造的な欠陥です。

例えば、小規模宅地等の評価の特例というものがありますが、この特例を適用することによって全体の税額(相続税の総額)が減額されてしまいます。

本来であれば、適用要件を満たしている宅地を相続した人の税額だけを減額すればいいのですが、現行の方式では計算の仕組み上、どうしてもそうならざるを得ないのです。

このようなことから課税方式を変更しようとしているのですが、もし実際に改正されたとしたら遺産分割のやり方自体がかなり変わってくるものと思います。

例えば、現行方式であれば法定相続割合で計算しますので、どのように分けようとトータルの税額は変わらなかったのですが、新しい方式では分割の方法によって適用される税率が変わってきますので、今まで以上に遺産分割が重要になってきます。

いずれにしても、相続税に関する税制改正には十分な注意を払うようにして下さい。


この記事へのトラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.43up.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/123

この記事へのコメントを投稿

初めてコメントをされる場合、コメントが表示される前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがございます。承認されるまでコメントは表示されません。その際はしばらくお待ちください。