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贈与金額はどのくらいが妥当か

ある程度の資産家になりますと、毎年のように相続人である子供等に財産を贈与していますが、どの程度の額を贈与すべきか迷うところです。

ご承知のように1年間で110万円を超えますと、その超えた額に対して所定の贈与税がかかります。したがって、この額より少ない額を贈与する人が多いのですが、この程度の額では資産家の場合、それほど財産を減らすことができません。

そこで、ある程度の税金は覚悟の上で贈与すべきなのですが、いったいどれほどの額を贈与したら良いのでしょうか?

これについては私のところでは基本的に相続税の半分程度の贈与税率になるように贈与金額を決めております。例えば、相続税の税率が20%であれば贈与税率が10%程度になるように贈与金額を決めているということです。

贈与税率が10%というと、次のように贈与金額では500万円弱です。

<500万円を贈与した場合の贈与税> 

  贈与税額・・・(500万円-110万円)×20%-25万円= 53万円

  贈与税率・・・53万円÷500万円=10.6%

このように500万円を贈与しますと10%を超えますので、それより若干少ない額ということになります。

それでは500万円を子供2人に10年間、毎年贈与したとすれば全部でいくらの額になるでしょうか? 次の計算式を見て下さい。なんと1億円です。

  500万円×2人×10年=1億円

毎年500万円を2人の子供に贈与すれば10年間で1億円も財産を子供に移すことができるのです。この場合の贈与税の合計は1060万円(53万円×2人×10年)です。

これを聞いて一般の人は、「1億円もの財産を子供に贈与するなんてありえない、そんなお金があったら自分で使う」とおっしゃるのではないでしょうか?

しごくもっともです。私もそう思います。でも世の中にはビックリするほどの資産家がいます。最近相続税の申告をした顧問先では配偶者の税額軽減をフルに適用したにもかかわらず相続税が9億円を超えました。

それも私が20年以上かけてありとあらゆる対策を講じた後の額です。このような方にとっては贈与によって、少しでも財産を減らしておきたいという気持ちになるのもうなづけます。

いずれにしても毎年少しずつでも贈与すればかなりの対策になるというのは事実です。まだやったことがないという方で、それなりの財産があるという方は是非一度ご検討下さい。

なお、贈与するに当たっての注意点を簡単にまとめておきますので、ご参考にして下さい。

<贈与に当たっての注意点>

1.贈与契約書を作成しておく。金額が多い場合には確定日付をとっておく。

2.贈与税がかかる場合には当然ながら贈与税の申告をする(贈与税というのはもらった人が申告、納税することになっている)。基礎控除額以内でも申告したほうが良いという人もいるが、それはどうかと思われる。税務署にとっては余計な仕事であるし、保管料もそれだけかさむことになる。

3.金融資産の場合は相手の口座に振り込んでおく。その前提としてもらう人の口座を作っておく必要がある(その場合は当然ながら印鑑は新調する)。

4.不動産の場合は移転登記をしておく。

5.金額は毎年少しずつ変えておく(最初からトータルの額を贈与する意思があったと認定されないため)。

いずれにしても財産が多い人の税務調査はすさまじいものです(国税局の担当者が大勢で来て、査察とほとんど変わらない調査をします)。各種の書類はほぼ完璧に作成し、矛盾なくやっておかないと否認される可能性が高いので十分ご注意下さい。

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