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中古アパートを転売した場合の譲渡所得税はこうなる

最近、私のお客様から質問がありましたので、今回はそれについてご紹介しておきます。

<お客様の概要>
ご主人はある大学病院の勤務医です(45歳位)が、今までに幾つかのアパートとかワンルームマンションをご主人名義で購入されています。いずれも中古の物件を専業主婦である奥さんが競売で取得されたものです(競売で購入するなんて根性ありますね)。

<お客様からの質問>
そのお客様から最近、次のような質問を受けました(事前に不動産会社からもらった物件情報とか事業計画書をメールでいただいています)。

「今回の物件は任意売却物件ですが、この物件を5年後に10%増しで売却した場合、譲渡所得税はどうなりますか?」

10%増しで売れるという前提に立っていること自体、たいへん積極的な方だと思いますが、不動産会社(投資コンサルティング会社)からもらった資料によりますと、売却予想価格から取得価額(現在の物件価格)を差し引いて、その差額に20%を掛けた額を譲渡所得税としているのです。

この計算は一見正しいように見えますが、税務上は全くの間違いです。税務というのは簡単そうでいて実は非常に面倒な計算をしなければならないのです。

譲渡所得税を計算するには、まず課税の基となる金額、すなわち譲渡所得金額を求める必要があります。計算式は次の通りです。

譲渡所得金額=譲渡収入金額-取得費-譲渡経費

このうち、取得費というのは取得価額(購入したそのままの金額)のことではありません。土地というのは償却ということがありませんので取得価額がそのまま取得費となるのですが、建物の場合は減価償却後の金額(帳簿価額)が取得費になります。

売却するまでの期間については毎年確定申告で減価償却するわけですから、売却するときの取得費(一種の経費)は減価償却後の金額になるのです。そうしないと経費を二重に計上することになってしまうからです。

いずれにしても取得価額をまず土地と建物に按分し、建物については売却するまでの期間について減価償却する必要があるということです。

次に譲渡経費ですが、要するに譲渡するための経費のことです。代表的なものとして不動産会社に支払う仲介料がありますが、だいたい譲渡収入金額の3%です。

このようにして求めた譲渡所得金額に対して、税率20%(所得税15%、住民税5%)を掛けますと譲渡所得税(含む住民税)が算定されるというわけです(所有期間が譲渡した年の1月1日において5年以内であれば、短期所有ということで所得税30%、住民税9%になりますので、ご注意下さい)。

このように一口に譲渡所得税を計算するといっても意外と面倒な手続きが必要になるのです(当社ではコンピュータで自動計算しておりますので、それほど手間はかかりませんが・・・)。

ところで、このお客様はどうして転売した場合の譲渡所得税を計算してほしいと言って来たのでしょうか? その理由は投資する前から出口戦略を考えているからです。

不動産経営の場合はいつ、何が起きるか分かりません。したがって皆様方も投資を実行する前に様々な状況を想定してシミュレーションしておいて下さい。

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