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建築中の借入金利子の会計処理は、こうなる

アパートとか賃貸マンションを建てる場合、工事費は通常、3回から4回に分けて支払いますが、これらの資金は通常、金融機関から借金します。

そして、アパートが完成し保存登記をした段階で、長期のアパートローンに切り替えるわけです。つまり、この借入金はアパートが完成するまでの「つなぎ資金」というわけです。

したがって、短期借入金という範疇になるのですが、短期借入金の場合は通常、利息は天引きされます。例えば、借入金が1000万円の場合、利息を30万円とすると970万円しか振り込まれないのです。そこで、必要資金に利息部分を足した額を借り入れる必要があるというわけです。

ところで、この借入金に係る支払利息はどのように会計処理することになるのでしょうか(元金部分は長期のアパートローンに切り替えられるだけですから、直接は関係ありません)?

例えば、「借入金の元金返済額は経費にならないが、支払利息は支払った時点で経費になる」というのは正しいでしょうか?

これについては正しい場合もあれば、正しくない場合もあるというのが正解です。つまり、アパート経営が初めての人は経費にできないが、既に何らかの賃貸物件を持っている人の場合は支払った時点で経費に算入することができるということです。

以下、若干解説しておきます。まずアパート経営が初めての人の場合ですが、建築中ということは建物がまだ完成していないということです。したがって、当然ながら税務署とか県税事務所に開業届けをしていない状態です。

このような段階で支払った(天引きされた)利息というものは、そもそも経費として算入することが理論的にできないのです。

会計の大原則に「費用・収益対応の原則」というのがありますが、これは要するに収益を獲得するために必要なものしか費用として認められないということなのです。

アパート経営の場合で考えますと、アパートが完成しない段階ではそもそも収益が発生しませんので、それまでに支払った経費は費用として計上しようがないのです。

それでは実際に支払った利息はどのように会計処理することになるのでしょうか? これについては建物の建築費として処理することになります。つまり、減価償却費として徐々に経費に算入していくということです。

それでは既にアパート経営をしている人が、追加して建てる場合の支払利息はどうして支払った時点で経費に算入できるのでしょうか?

新しく建てるアパートは完成するまで収益を生まないはずです。それにもかかわらず経費として認められるのは筋が通らないではないかと叱られそうですが、これについてはそこまでは厳密に考える必要はないということになっています。

つまり不動産所得を生ずべき業務を行っている場合においては、新しくアパートを建てることは、その業務の拡張行為であると考えるのです。

なお、法人の場合は新規にアパートを建てる場合であっても支払い時点で全て経費に算入することができます。

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