« 12月決算の法人の申告期限は2月末ですよ! | メイン | アパートを建てた場合の固定資産税はこうなる(建物編) »

意外と面倒な青色専従者給与に関する実務処理

青色申告の特典には幾つかありますが、その中で一般によく知られているのが、青色専従者に支給した給与を経費に算入できるというものです。

白色の場合には専従者控除として配偶者の場合は一律年間86万円(子供の場合は一律50万円)しか控除できませんが、青色の場合には業務内容に照らして過大でなければ全額を必要経費に算入できます。

ところで実際に専従者給与を支給する場合、その具体的な手続きについては存知でしょうか? ご存知ない方のために今回はこの手続きについてまとめておくこととします。

まず、専従者給与を支給する場合は当然ながら青色事業者でなければなりませんので、その届出をしなければなりません。また、これとは別に「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を提出します。

これには専従者の氏名とか仕事の内容・従事の程度、月額給与、昇給の基準等を記載することになります。そして、この届出書はその年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内)に税務署に提出します。

なお、この届出書に記載した専従者給与の金額の基準を変更する場合(給与規程を変更する場合とか通常の昇給の枠を超えて給与を増額する場合など)や新たに専従者が加わった場合には、遅滞なく変更届出書を提出する必要がありますので、ご注意下さい。

ところで、これらの手続きは一回限りなのでそれほどでもないのですが、専従者給与の額が月額88,000円を超え源泉所得税がかかるケースでは法人の場合と同じ手続きが必要になります。つまり、給与の額が月額88,000円を超える場合には所定の額を源泉所得税として控除した上で専従者に支払うのですが、控除した源泉税は原則として翌月の10日までに税務署に納税する必要があるのです。

ただし、小規模事業者の場合には半年に1回でも良いことになっています(7月10日と翌年1月10日)が、そのためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」という書類を提出する必要があります。

これに加えて、一般の法人と同じく12月には年末調整という手続きも必要になりますし、翌年の1月には管轄の市町村役場に対して給与の支払報告をしなければなりません(これに基づいて翌年の住民税が決定されますので間違いは許されません)。
このように実際に専従者給与を支給するとなると税務上は実に様々な手続きが必要になってくるのです。

なお、専従者給与を支給したり白色申告の場合の専従者控除を適用する場合には事業的規模に該当しなければなりません。つまり5棟10室以上でないと適用にならないわけです。また、これらを適用しますと配偶者控除とか扶養控除の対象から外れますので、実行に当たってはメリット、デメリットをよく比較検討しておくべきでしょう。

この記事へのトラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.43up.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/96

この記事へのコメントを投稿

初めてコメントをされる場合、コメントが表示される前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがございます。承認されるまでコメントは表示されません。その際はしばらくお待ちください。