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個人保証と機関保証、いずれが良いか?

住宅金融公庫からアパート等の建設資金の融資を受ける場合、連帯保証人か機関保証のいずれかをつける必要があります。

このうち連帯保証人というのは個人の方で、一定以上の資産を所有している人でなければなることができません。

一方、機関保証というのは財団法人首都圏不燃建築公社等に保証をしてもらう制度です。当然ながら保証料がかかりますが、この場合の保証料は保証期間(借入期間)により異なっています。例えば保証期間が25年の場合は借入金の2%なので、借入金を1億円とすると200万円となります。

ところで今から10年ほど前に公庫から融資を受けて賃貸マンションを建てたお客様がいらっしゃるのですが、そのときは連帯保証人を立てました。借入金が8億円程度であり保証料が1600万円にもなったため個人保証をお願いしたのです。

お願いした方は奥さんのお父さんとお姉さんのご主人です(原則として2人必要です)。ところで、このうち奥さんのお父さんが昨年亡くなってしまったのです。

また、今年になってお姉さんが躁うつ病になり、突然10年ほど前の遺産分割が不公平だと騒ぎ出したのです。要するに遺留分を寄越せというわけです。遺留分というのは原則として相続開始から1年で時効になりますので、今となっては何の権利もないのですが、躁うつ病ですからどうしようもありません。

このように関係が悪化した今となっては当然ながら保証人も変更しなければなりません。そこで現在、首都圏不燃建築公社に機関保証していただくべく各種手続きをしているところです。

このように個人保証というのは実際問題として非常に難しいと思います。その大きな理由は保証期間の長さにあります。この事例では35年ですが、35年の間には実に様々なことが発生するのです。

例えば保証している人が亡くなった場合には、その相続人は連帯保証人としての義務を負わなければなりません(相続人が2人以上の場合は法定相続割合で負担することになります)。

このように、機関保証の場合には保証料はかかりますが、個人保証の場合の様々な問題点を考慮しますとやはり機関保証に軍配が上がりそうです。

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